2025年6月4日(水)、都立総合芸術高等学校で高校2年生を対象に「探究」の一環として派遣授業が実施されました。本派遣では、生徒たちが「芸術」を社会でどのように活用できるかを考え、将来への視野を広げることを目的とした講義・ワークショップが行われました。
当日は、北桂樹氏、内山統子氏、田名部真理氏、長井悠氏の4名を講師に迎え、それぞれの専門分野に基づき美術、舞台表現、音楽の各クラスを担当しました。


美術クラスでは北氏と内山氏が講義を行い、北氏は「現代アートは当たり前を問い直す力を持つ」とし、講義の中で説明された「現代アート」の鑑賞法踏まえ、「これは本当に当たり前なのか?」と自問する姿勢を養う重要性を説きました。内山氏は「デザインは人の心を変える力を持つ」という視点からデザインの社会的な役割を強調し、「自分自身のデザインは終わりがなく、社会を変える可能性がある」と生徒に向けて力強いメッセージを送りました。

舞台表現クラスでは田名部氏が講義を行い、芸術を社会でどのように活かしていくかについて、自身の経験を交えながら語りました。田名部氏は、舞台表現の持つ力を通じて「自分自身の可能性を広げる」ことの重要性を伝え、生徒たちが自己表現を深めるための視点を提供しました。また、1つの見方に視野を狭めず広く調べること・対する相手に興味を持つことの大切さを熱く伝えました。

音楽クラスでは長井氏が「自分の人生の指揮を自分で執る時代」というテーマで講義を行い、2030年には働き方がさらに多様化することを予測しながら、「冒険者=アントレプレナー」として自らの人生を切り拓くマインドが重要であると語りました。また、ワークショップでは音楽を起点に、自由な発想で音楽と他分野を結び付ける活動を実施。生徒たちは多様なアイデアを生み出し、創造性を広げる体験をしました。
講義後の生徒アンケートでは、「デザインはものを作るだけではないと知ることができ、視野が広がった」「アート・デザインの力は凄い、人の心に響くものを作ることができるのだと感動した」「他社と比較せず、マネジメントで「個」を生かすことが印象に残った」「アントレプレナー=色々な正解を探す冒険者という考え方が憧れた」などの感想が寄せられ、自らの可能性を探求する意欲が高まった様子がうかがえました。本授業を通じて、生徒たちは「問い続け、自らデザインする」姿勢を学び、未来への一歩を踏み出すきっかけを得ることができました。
〈北桂樹氏〉
- プラスアルファドットティーヴィー 代表
- 現代アート研究者 アーティスト
- 京都芸術大学/大学院 非常勤講師
- 東京綜合写真専門学校 非常勤講師
- T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO ディレクター
広告営業・オンラインメディア/動画コンテンツの開発・CM編集・現代写真の研究等を経験し、現在は、本業である映像制作と並行させながら、京都芸術大学などで芸術教育に携わりながら、専門誌への寄稿や現代アートギャラリーにてキュレーションを担当。現代アートの知見を活かし、アート思考を活かした社員教育のプログラム、人材育成なども行う。
〇生徒たちへのメッセージ
「やりたいことをやる」から「やりたいことが価値になる」にする!
〈内山統子氏〉
- 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 代表理事
武蔵野美術大学卒業後、大手印刷会社、広告代理店にて経営企画や販促企画に従事。以後、中小企業のPRやブランディング支援を軸に活動。
結婚出産を経て、女性経営者の孤独を実感。これまで顧問先でもあった女性後継者にフォーカスし、ダイバーシティマネジメントやジェンダーギャップで悩む女性経営者の支援のために日本跡取り娘共育協会(跡取り娘ドットコム)を設立。現在は複数の企業の顧問として、ブランディング構築、PR支援、講演やセミナーの登壇などを行いながら、女性活躍や中小企業の経営支援を軸に広く活動している。
〇生徒たちへのメッセージ
私たちの協会では、皆さんが家業や地域、そして日本全体の未来を切り開くための女性達のサポートを行っています。
皆さんがこれからの日本を支える重要な世代であり、私たちの社会、そして家業や伝統を未来へつなぐ役割を果たす存在です。これからの人生には、たくさんの挑戦や機会が待っていることでしょう。それに対して、一人ひとりが自分の力を信じ、夢や目標を持ち続けることが大切です。知識や技術を学び、自らの可能性を最大限に引き出してください。今の皆さんの努力や情熱は、未来へとつながります。
支えてくれる人たちや学びの場は常に身近にあります。私たちのコンセプトも「共育」共に育つです。
一緒に成長し、共に明るい未来を創り上げていきましょう。皆さんの輝かしい未来を楽しみにしています。
〈田名部真理氏〉
- フリーアナウンサー
関西大学文学部国文学科卒業後、中学高校国語科非常勤講師を務めたのちタレント活動開始。テレビ、ラジオ、VP、ナレーション、ファシリテーター等
幅広く経験し、現在は「平田オリザの舞台は但馬」(ラジオ関西)「駅前てくてくさんぽ」(関西CATV)「PRiVA旅stories」※ナレーション(ベイコミュニケーションズ)に出演し、グラングリーン大阪U-FINO主催「イノベーションラヂヲ」パーソナリティやマイナビTVアシスタント(web配信)も務めている。
〇生徒たちへのメッセージ
人はいつからでも何にでもなれます。
〈長井悠氏〉
- タクトピア株式会社 代表取締役
東京大学にて藝術学(音楽社会学)を専攻、修士課程修了。IBM社にて戦略コンサルタントとして活動した際、リーマン・ショックによって日本の産業界が激震した様子を目の当たりにし、根本の課題は社会と教育のズレにあるのではないかと思い至り、2010年に「新しい学びのクリエイティブ集団」を標榜するハバタク株式会社を創業。2015年、当社の一部門であった教育事業をタクトピア株式会社としてスピンアウトし代表取締役に就任。グローバルとローカル、双方の視点(グローカル)をもったリーダーを育てるというミッションのもと、経営と現場の両軸で国内外を飛び回っている。教育(学ぶ)と産業(働く)が渾然一体となった、21世紀型の「より良い生のための生態系」構築を目指している。
〇生徒たちへのメッセージ
この時代における「いかによく生きるか」という問いは、「いかによく学ぶか」という問いと重なってきます。なぜなら、学びによって常に自己を変容・変態させていかなければ、予測困難な外部環境に適応することはできないからです。
学びとは、社会に対するお行儀の良さを身につけることではありません。人々が生きていくために異質なものを消化し自分のものにしていく、アグレッシブな生命活動なのです。
人生の指針=TAKTを持つべく学ぶ人々のための生態系=UTOPIAを創ろうと、タクトピアは誕生しました。しかし、これは私たちだけで実現できるものではなく、世界中の教育機関・企業・さまざまな支援者が有機的に連携して起こす21世紀の革命なのだと確信しています。ぜひ私たちとともに、チャレンジを続け、世界を変えましょう。