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「未来を拓く学びと出会い」アントレプレナーシップ教育ギャザリングDAY 2025 レポート①

2025年7月19日に開催された「アントレプレナーシップ教育ギャザリングDAY」では、教育関係者・行政・産業界の垣根を越えて交流と学びの場となりました。

当日は、TIB Studentsのサポーター派遣を受けた学校の教員・生徒・サポーター総勢89名が一堂に会し、アントレプレナーシップ教育を実践した経験や、その手応え、学びの成果を共有しました。さらに、教育現場と社会をつなぐ新たなヒントを探るべく、参加者同士の意見交換やネットワーキングも活発に行われ、終始熱気に包まれた一日となりました。

本レポートでは、その模様を中心に各セッションで交わされたリアルな声や会場の様子をお伝えします。

オープニングセッション

TIB Students事務局:熊木

当セッションで司会進行を務めたのは、TIB Students事務局の熊木。

オープニングでは、3名の方にご挨拶をいただきました。1人目は、東京都スタートアップ戦略推進本部、スタートアップ戦略推進担当 松本 克己部長です。

松本部長は、東京都は未来に向かって様々な分野で挑戦する若者を応援していると述べました。その一環である本イベントは、学校現場を支える皆様と共に、生徒・教員の皆様と新たなアントレプレナーシップ教育の気運醸成を図ることを目的としています。

東京都スタートアップ戦略推進本部・スタートアップ戦略推進担当部長 松本 克己部長

松本部長は、日本の社会を変えようとする意欲や希望を持つ人が世界に比べて非常に少ない現状を報告しました。変革する意欲やそれを応援する気運も低く、社会として本気で挑戦する人が十分に奨励されていない状況であると述べました。

そのため、東京都では小学生から大学生まで、起業家性を育む教育を推進しています。その一環として、「TIB Students」という学出前授業を行っており、起業家をサポーターとして登録し、教育現場に派遣し、挑戦する楽しさを伝えています。

昨年度は都内の中学校・高校23校で3,000人を超える生徒が受講し、学校派遣を受けた生徒や先生方の満足度は8割を超えています。

松本部長は、出前授業を受けた学校や協力したサポーターから、成果や課題などの生の声を聞き、アントレプレナーシップ教育の重要性について共に考えたいと述べました。

さらに、東京都は文部科学省と中小企業庁が立ち上げた「ジャパンアントレプレナーシップアライアンス」に参画。今後は国と連携し、アントレプレナーシップ教育を推進していくとのことです。

松本部長に続き、文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課産業連携推進室の溝田 岳室長と中小企業庁創業・新事業促進室の大竹 真貴室長から挨拶がありました。

文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課産業連携推進室:溝田 岳室長

溝田室長は、東京都のアントレプレナーシップ教育推進への協力と、ジャパン・アントレプレナーシップ・アライアンスへの参加を歓迎しました。文部科学省は、アントレプレナーシップを「新たな価値を生み出す精神」と捉え、起業に限らず、企業や行政等、あらゆる組織で活躍するために必要な重要な力であると考えています。

現状、大学生のアントレプレナーシップ教育受講率は約5%、小中高生への教育提供率は約1%と低く、一層の教育強化が必要であると認識しています。

本アライアンスは、全国に教育機会を広く提供し、人的リソースや好事例の相互共有を進めることを目的としています。東京都をはじめ、自治体や産業界からの参加も促し、教育機会の拡充と質の向上を図っていくとのことです。

溝田室長は、アントレプレナーシップ教育の推進において、現場の先生、自治体、産業界の役割が極めて大きいと強調し、日本の活性化に期待を寄せました。

中小企業庁創業・新事業促進室:大竹 真貴室長

大竹室長は、日本経済が少子高齢化や人口減少に直面する中で、持続的発展のためには「コスト型社会」から「高付加価値創造型社会」への移行が必要であり、そのためにリスクを恐れず挑戦する起業家を多く輩出することが重要だと述べました。

経済産業省・中小企業庁では、平成30年より高校生を対象とした起業家による出前授業や、学校のアントレプレナーシップ教育への支援、教員向けマニュアル提供などの取り組みを続けてきました。

これらの取り組みを加速させるため、産業界、教育界、地方自治体、行政が連携・共有・活用することでより効率的に付加価値を生み出す必要があると考え、本年3月に文部科学省と連携して「ジャパンアントレプレナーシップアライアンス」を立ち上げました。

今回の東京都の参加は地方自治体として初めてであり、先進的な取り組みを進める東京都がアライアンスに参加することは極めて有意義で、全国への広がりが期待されています。

大竹室長は、ギャザリングデーの成功と、当日登壇する高校生の中から日本を担うビジネスが生まれること、そして皆様の支援のもとで多くの起業家が生まれることを祈念し、挨拶を締めくくりました。

ジャパンアントレプレナーシップアライアンスに東京都が参加したことを記念した写真撮影