2025年12月16日都立保谷高等学校2年生314名を対象に、海外修学旅行前後研修となるキャリア講演会が国連大学で開催されました。講演には、一般社団法人異世界の学校 代表理事・大谷吉秀氏をサポーターとして派遣し、教諭からの「消極的な生徒にチャレンジする気持ちを持ってほしい」という要望に応える形で、インタラクティブな内容が展開されました。
講演では、10代の頃に抱える”モヤッ”とした違和感や悩みは、実は自分しか考えたことのない独創的な問いであること。そして”モヤッ”を大切に研究し続けることが自分らしい進路につながるというテーマを中心に語られました。
大谷氏は、高校卒業後に進学せず、起業に至った自身のキャリアを踏まえて「大学に行かなかった大人」の視点から、大学や専門学校、そして会社の社会的な役割を314名と共に探求する形で講演を行いました。

また、参加者同士が前後左右で意見を交換する場面も多く設けられ、『マンガを教科書化するプロジェクト」や「ふつうをひっくり返す発想』など、日本と世界で実際に社会を変えたアイデア事例を交えながら、身近な違和感やちょっとした悩みを新しいアイデアに変える発想アプローチを紹介。
さらに、文理選択に直面する生徒への『二人の名探偵から考える文理タイプ診断』や『自分の“モヤッ”を言語化するワーク』といったワークショップでは、生徒同士の活発な議論が見られました。

教諭からは「高校で教えることがない新たな視点からのキャリア教育で、生徒たちも目から鱗が落ちる内容だった」と評価され、教育庁の担当者からも「問いかけが多く、インタラクティブで非常に良い講演だった」と好評を得ました。
生徒アンケートでは、
・生徒のモヤモヤを授業にするということです。普段から小さなモヤモヤは多いと思いますが、そのモヤモヤをなるべく明確にして、授業に繋げられるということに感動しました。このように、自分のモヤモヤはもしかしたら将来の夢に繋げられるかもしれないと思いました。私は、日々のモヤモヤにもっと焦点を当てて、それに興味を持って将来の進路に活かしたいなと思いました。
・専門大学、大学、社会の役割について考えたことが印象に残っています。また、周りの友達と沢山話して、自分からアイデアを作り出せたのが良かったです。
・実際に自分の好きなアニメを学問として成立させることは難しいと思っていたが、それを実現させようとする人がいることに驚いた。
といった感想が寄せられ、生徒たちが自分の考えや違和感を大切にし、主体的に未来を切り拓くきっかけとなる講演となりました。
<大谷 吉秀氏>
一般社団法人異世界の学校 代表理事
幼少期に認知障害を患う父親との関わりをきっかけに人間の認知機能に関心を持ち、組織心理学および成人発達理論を専門的に学ぶ。
「わかりあえなさ」を主題とした対人コミュニケーションの研究を続け、実践の場として2023年にオンラインスクール「Mアカ」を創設。
Mアカでは、「子どもが先生になる学校」をコンセプトに、児童・生徒自らが授業を企画・設計する教育モデルを展開。
学習カリキュラムの構築や、SEL(社会性・情動的スキル)に基づいたアニメーション教材の開発を手がける。
代表的な事例として、小学6年生による「鬼滅の刃を教科書にした道徳の授業」は全国の小中学校で正式採用され、また「バッドエンドな日本昔話を科学の力でハッピーエンドに変える」をテーマにした探究学習では、小学生〜高校生が主体となり新たな科学授業の開発を行っている。
心理学的視点と教育学の実践を融合させ、子どもの創造性を起点とした学びの再構築に取り組んでいる。
○生徒へのメッセージ
学校や塾の勉強は、10代の皆さんにとってはあまり関心がないことかもしれません。
友達や親あるいは推しとの関係、自分自身へのわからなさだったり、色んなことに”モヤッ”とできる豊かな時期には、「勉強だりぃ」と思ったりもするでしょうか。
しかし実は、今皆さんの目の前に立ちはだかる、勉強しなければならないことは、かつての誰かの”モヤッ”との集合体です。
「う〜ん、宇宙の中心が地球ってガチで言ってる?」と”モヤッ”としたガリレオさんが、地動説を発見してくれたり。
「なー、神が人間を作ったってほんまなんかな」と”モヤッ”としたダーウィンさんが、進化論を唱えてくれたり。
先人が悩みや違和感を大切にし続けてくれたお陰で、今の社会や人類の繁栄はあるようです。
多くの人にとっての”ふつう”に流されなかったから、変わり者扱いされたりと大変だったようですが。
皆さんの”モヤッ”も、答えを出すのが難しいものほど、素晴らしいとぼくは思います。
重ければ重いほど、深ければ深いほど、理解されなければされないほど、その”モヤッ”とは皆さんと多くの人の未来を変える可能性に満ち満ちています。
今、悩みが晴れず、違和感が拭えない時間を大切に、胸を張って”モヤッ”として大丈夫です。
焦らずにゆっくりと解いていってあげてください。
いつかあなたが出す答えに救われる人は、未来で待っています。